問題解説: Network 実技2
問題文
Router1とRouter2は最近、EBGPピアを張ることを決定しました。Router1に設定を行い、Router2とEBGPピアを張ってください。EBGPピアを張ることができたかどうかは、「show ip bgp summary」で確認できます。
なお、以下の注意事項に沿って設定してください。
・ 設定できるルータはRouter1のみです。
・ Router1のAS番号は「1」で設定してください。
・ Router1のebgp neighborを張る宛先はRouter2のLoopbackを指定してください。
情報
この問題のトポロジー図は以下になります。
「sh ip bgp summary」の結果の一番下の行の右端が「0」になっていれば、ピアを張ることができています。
実行例を以下に記載します。この結果では下の行の右端が「0」になっています。
Neighbor V AS MsgRcvd MsgSent TblVer InQ OutQ Up/Down State/PfxRcd
2.2.2.2 4 2 6 8 1 0 0 00:03:39 0
スタート
Router1とRouter2間のEBGPピアの設定を行なっていない状態。
ゴール
Router1とRouter2間でEBGPピアが張ることが出来ている。
トラブルの概要
neighborやremote-asの設定だけでLoopback間のEBGPピアを張ることができない。
解説
Router1からRouter2にEBGPピアを張るには、BGP Neighborの設定が必要です。
今回の問題ではCisco機材を使用しているため、Cisco用のコマンドによる設定になります。
具体的には以下のような設定が必要になります。
enable
configure terminal
router bgp 1
neighbor 2.2.2.2 remote-as 2
ですが、これだけではEBGPピアを確立させることはできません。
本来、EBGPピアは、実際に接続されているインターフェース間で行われることが一般的で、
追加の設定をしない限りは、それを前提にピアを張ろうとします。
しかし、今回の問題では、Loopbackインターフェース同士でピアを張る必要があるため、
追加の設定が必要になります。具体的な設定は以下になります。
ip route 2.2.2.2 255.255.255.255 192.168.1.2
neighbor 2.2.2.2 update-source loopback 0
neighbor 2.2.2.2 ebgp-multihop
3つの設定をBGPの設定に加えることで、Loopbackインターフェース間でEBGPピアを張ることができるようになります。
上から、説明していきます。
ip route 2.2.2.2 255.255.255.255 192.168.1.2
これは、Router1がRouter2のLoopbackのアドレスを知らないから疎通性がないことを解消するための設定です。ピアを張る際は、そのインターフェースと疎通性が取れないと張ることができないからです。
neighbor 2.2.2.2 update-source loopback 0
BGPメッセージを送る際の送信元をRouter1 のLoopback 0に指定します。デフォルトでは、送信元はRouter1の物理インターフェースに指定されているため、送信元を変える必要があります。
neighbor 2.2.2.2 ebgp-multihop
EBGPでピアを張る際のBGPのメッセージのTTL(Time to live)の数を増やすために設定します。
EBGPピアを張る際のBGPメッセージのTTLはデフォルトで「1」に設定されているため、Loopbackインターフェース間だとTTLが足りなくパケットロスが起きてしまいます。なお、「ebgp-multihop」の後に引数を指定しないと「255」になります。
以上の設定を踏まえて、最終的な解答コンフィグを以下に記載します。
解答例
!Router-A
!
enable
!
configure terminal
!
ip route 2.2.2.2 255.255.255.255 192.168.1.2
!
router bgp 1
neighbor 2.2.2.2 remote-as 2
neighbor 2.2.2.2 update-source loopback 0
neighbor 2.2.2.2 ebgp-multihop
!
採点基準
- Router2のASに向けて、neighborやremote-asのコマンドが正しく設定できている(10%)
- Router2のLoopbackに向けて静的ルートを追加されている(30%)
- update-sourceコマンドでLoopbackを指定することでアドレスが一致している(30%)
- ebgp-multihopコマンドでTTLの値を「1」より大きな値に変更できている(30%)
講評
この問題はBGPでルーティングを行う際に、最初に行うEBGPピアを張ってもらう問題でした。
Loopbackインターフェースを用いることを前提に設定を組んでいたチームが半分を超えていて、出題してよかったと思います。
EBPGピアを張る際に、Loopbackを用いることもできることを知っていただけたら幸いです。